嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

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「倒錯の舞踏」ローレンス・ブロック 田口俊樹訳 感想

倒錯の舞踏
A DANCE AT THE SLAUHTERHOUSE
訳者:田口俊樹訳
発行日:1999年6月25日 初版発行
発行所:二見書房
原書発行:1991年

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現代ハードボイルドの最高峰
マット・スカダー・シリーズ
最優秀長編賞受賞(1992年)

内容紹介・感想
スカダーの友人がレンタルしたビデオには、意外にも現実の猟奇殺人の一部始終が収録されていた! 
だが、その残虐な映像からは、犯人の正体はもとより、被害者の身元も判明しなかった。
それからしばらくしてスカダーは、偶然その犯人らしき男を目撃するが……。
現代のニューヨークを鮮烈に描くハードボイルド大作。
(カバー裏より)

ローレンス・ブロックの作品、特にマット・スカダーシリーズはすべて読んでいると思いますが、その中でも代表作といっていい本作。

前作「墓場への切符」、本書「倒錯の舞踏」、本書の翌年に発表された「獣たちの墓」とあわせて特に猟奇的、変質的な犯罪者との闘いを描いているため〈倒錯三部作〉と呼ばれております。

常人の道徳観念を持たない変質的な殺人鬼と対峙する主人公。
自らを法の埒外に置きながら信念に基づき殺人鬼を追い詰めるスカダー。

また本作の魅力の一つに田口俊樹氏の名訳のおかげもありますが、スカダーの交わす会話があります。
恋人のエレイン、闇世界の住人ながら、やけにスカダーと気の合うミック・バルーとは酒場で朝まで語り合ったりします。そして時にスカダーの手足となり活躍する42丁目にいる黒人の少年TJとの小粋なやりとり。

殺人ビデオを巡るストーリーと壮絶なクライマックス…。
ニューヨーク舞台としたハードボイルドの傑作です。