著者:隆慶一郎
カバー装画:西のぼる
発行:平成3年9月25日
発行所:新潮社

著者紹介
隆慶一郎(1923-1989)
東京生まれ。東大文学部仏文科卒。
時代小説界に一時代を画すが、わずか5年の作家生活で急逝。
(カバー折り返しより)
内容紹介・感想
「前田慶次郎利益(利太とも書く)は滝川左近将監一益の従兄弟(甥ともいう)滝川儀太夫益氏の子である。永禄十二年(1569年)、尾張の荒子城主前田利久の養子になり、当然その名跡を継ぐ筈だったが、織田信長の命令によって、荒子城は利久の弟前田利家に与えられることになった。利家は利久の父前田縫殿助利昌の四男だったのだから、これは全くの異例の処置だったといえる。その上、利久は城を追われた。
お陰で慶次郎は養父利久一家を若年の身で双肩に担い、天下流浪の身となった。」
(本文より)
戦国末期、天下の傾奇者として知られる男、前田慶次郎。
「この短い旅日記の中にいる慶次郎は、学識溢れる風流人でありながら剛毅ないくさ人であり、しかも風のように自由なさすらい人だった。」
(平成元年2月16日 著者後書より)


コミックス版
「花の慶次 雲のかなたに」
集英社文庫 全10巻完結
初出:少年ジャンプ1989年50号読み切り、1990年13号~1993年33号
文庫版1巻の二橋進吾氏の解説エッセイ「傾奇者 隆慶一郎」に、コミックス化の経緯が詳しく記されています。
足しげく病室を訪れるうち、隆氏が言います。
その後、原哲夫氏を伴って訪れるうちに、コミックの構想が膨らんでいきます。
「9月11日に隆慶一郎は一時退院し、22日に戻った。その間に約束は実行された。堀江編集長と原哲夫はふぐ屋の暖簾をわけた。その夜口数の少ない原哲夫は二人の話に終始耳を傾けていた。頭のなかでは「花の慶次」の絵がつぎつぎに浮かんで、いつか慶次と隆先生が重なりはじめていた。
隆慶一郎が好きな江戸(東京)の町を自由に歩いた最後の夜であった」
二橋進吾氏の解説エッセイ「傾奇者 隆慶一郎」より