嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

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御手洗潔最初の事件「異邦の騎士」島田荘司代表作

異邦の騎士
完全改訂版
著者:島田荘司
カバーデザイン:辰巳四郎
発行日:1998年3月15日 第1刷発行
発行所:講談社講談社文庫)
*この作品は1988年4月小社から刊行され、1990年11月小社ノベルス、1991年12月文庫化された作品『異邦の騎士』に著者が全面加筆修正した作品です。(文庫巻末より)

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本作は、島田荘司氏の代表作のひとつでり、名探偵御手洗潔の最初の事件でもあります。

著者自身による完全改訂版のための後書きに詳しい執筆の経緯が書かれています。
「異邦の騎士」の第一稿執筆開始は1979年だったそうです。当初のタイトルは仮題ですが「良子の思い出」。

時期的に本書がデビュー作でもよかったわけですが、著者は机に眠らせていました。
理由として第一にパンチが足りないと思い、第二にタイトルが決まらなかったせいもあるといっています。

確かに「良子の思い出」では弱いし、絢爛たる「占星術殺人事件」がデビュー作だったことを考えると正解だったのかもしれません。

1988年になって講談社が有力作家ハードカヴァー一斉描き下ろしシリーズの企画を立てた際、作品のストックがなく、他の締め切りも重なり、ようやく「良子の思い出」を思い出し、9年を経て本作品が世に出ることとなりました。

またタイトル付けに苦しんだ挙句、つけたタイトルが「異邦の騎士」です。チック・コリアのアルバムタイトル「浪漫の騎士」をもじったものだそうです。

結果としてこれは著者の予想以上に好評で、著者作品の読者人気投票では長らく「占星術殺人事件」が不動の1位だったのに、発表後数年経つと、「異邦の騎士」が一位に躍り出るまでになったのです。

確かに作品には若書きの熱気、抒情性といったものが溢れています。もちろん読者を驚かすトリックも仕掛けられており、未読の方には、これは予備知識無く読んでいただくと楽しみ、驚きが倍増すると思います。