嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

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驚くべき先見性と現実とのシンクロ率!!『首都感染』高嶋哲夫著

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驚くべき先見性と現実とのシンクロ率!!

『首都感染』

高嶋哲夫著

 

新型コロナウイルス感染症の蔓延する現在を予言していたのではないかと話題の書、「首都感染」を読了しました。

 

20××年6月。時あたかもサッカーワールドカップの開催されている中国、北京で物語は幕をあける。同じころ、中国、雲南省では強毒性インフルエンザの発生により、数百人規模の村が次々と全滅していた。ワールドカップを勝ち進む中国チーム、軍を動員して、なんとしてもワールドカップ終了までに事態を収拾、情報を隠蔽しようとする中国政府。

 

水面下で情報をつかんだWHO、アメリカ、日本が水際での感染防止に動く。国際空港の閉鎖を訴える元WHOの感染症エキスパートの瀬戸崎医師。日中関係に忖度して反対する立花財務大臣。空港での検疫と潜伏期間5日の隔離など、現実をなぞるかのような展開が続きます。

 

空港での封じ込めに成功したかに見えたが、外交特権によりすり抜けた中国外交官により都内に感染が拡がるあたりも現実感があり、恐ろしい。

致死率60%ということから東京封鎖(荒川と多摩川、環状八号線沿い)に踏み切る瀬戸崎総理(瀬戸崎医師のお父さん)。

 

医療現場で不足するマスク、防護服、消毒液、酸素吸入器。医療崩壊の寸前で奮闘する医師、看護師、医療従事者たち。世界各国の感染者数と死亡者数に比して突出して少ない日本の状況なども現実とリンクする。

息詰まるようなリアリティをもって、まさに今読むべき傑作です!!

 

2010年12月刊行

講談社創業百周年書下ろし作品

文庫版

2013年11月15日第1刷発行