嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

コミック、映画、ミステリーなど、思いつくまま綴ります。街のお散歩写真もご紹介(#^.^#)

コロナ禍の今読むべき名作!!『復活の日』小松左京著


f:id:arashi_golf:20200429185245j:plain

 

コロナ禍の今復活した名作!!

『復活の日』小松左京著

 

日本SF界草創期の巨匠、小松左京氏による「復活の日」は1964年8月に日本長編SFシリーズの書下ろし作品として早川書房より出版されました。

その後1980年に本作を原作に角川春樹事務所とTBSの製作、深作欣二監督により劇場映画世界初の南極ロケの敢行やハリウッドスター出演の超大作として映画化されました。

 

196×年2月はじめー

ヨーロッパの大寒波が英国本土へもおそいかかっていた。

ポーツマス軍港にほど近い警戒厳重な英国陸軍細菌戦研究所からスパイ戦によって持ち出された猛烈な毒性を持つウイルスMMー88。

摂氏マイナス10度前後で萌芽の状態で増殖をはじめ、マイナス3度をこえると増殖率は100倍以上になる。

摂氏5度に達すると猛烈な毒性をもちはじめ、その段階の増殖率はマイナス10度の時の約20億倍・・・

 

ウイルスを秘密裡に輸送するため、旧型の小型双発機は夜間にアルプス越えを強行した結果、山中にたたきつけられ、ウイルスを収納したトランク、魔法瓶ともども粉々に砕け散ってしまう。

アルプスの雪解け水がアドリア海にそそぎ、ヨーロッパが春迎える頃、イタリアでは国際的プレイボーイである俳優がローマへ向かう途中で突然死に襲われる。この事件を端緒に世界中で家畜や人の突然死が頻発しはじめる。

 

そして、3月から始まった災厄は全世界を覆い尽くして、8月の終わりには全人類は息絶えてしまう。大洋と氷に閉ざされた南極に残された約1万人の人類を残して・・・(映画では863人)

 

全編の4分の3ほどを費やして描かれる気づかぬうちに少しづつ忍び寄る疫病の描写が現実を想起させて恐ろしいです。たかがかぜ、たかがインフルエンザに・・・。

第一部の最後、誰にともなく発せられたヘルシンキ大学教授の無線による後悔と文明批判は作者の思いを代弁しているように思えます。

 

南極の状況を描く「インテルメッツォ」を経て、第2部「復活の日」では、再び南極を襲う危機を救うため、ワシントンとモスクワに向かう決死隊の活躍が描かれる。作中で残された時間も短いがページ数も少なくなる中、拡げた大風呂敷をたたむクライマックスは素晴らしい。また後日譚となるエピソードが泣かせます。傑作です。

 

f:id:arashi_golf:20200429185252j:plain

 

書名:復活の日

著者:小松左京

カバーイラスト:生賴範義(おうらいのりよし)

発行所:角川書店(角川文庫)

発行日:昭和50年10月30日 初版発行

    平成30年  8月25日 改版初版発行

    令和  2年  4月5日   改版3版発行

定価:本体760円(税別)

 

 

arashi-golf.hatenablog.jp