画本で甦る宮澤賢治の世界
『猫の事務所』
作・宮澤賢治 画・小林敏也
パロル舎刊
軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。ここは主に、猫の歴史と地理をしらべるところでした。
このレトロでイメージを喚起する魅力的な書き出しで始まる不思議でユーモラスな猫たちの物語。
本書は宮澤賢治の作品に引かれ、1979 年に『画本 宮澤賢治 どんぐりと山猫』(パロル舎) を出版、それ以降ライフワークとして『画本 宮澤賢治』シリーズに取り組んでいる小林敏也氏の作品です。
表紙はモノクロームの猫たちに赤、青、黄の色面を配したデザイン性の高いイラストとなっています。
物語は猫の事務所で働く猫たちのとぼけたユーモラスなやりとりの果て、いわゆる歌舞伎でいう屋台崩し、古代ギリシャの演劇から発したデウス・エクス・マキナ的な展開により幕を下ろします。
宮澤賢治の世界を見事に視覚化した魅力的な一冊です。
『画本 宮澤賢治 猫の事務所』
作 宮澤賢治
画 小林敏也
発行日:1983年10月20日 第一刷発行
発行所:パロル舎
定価:本体1,340円(税別)
参考