寝苦しい夜に戦慄のホラーコミックを!!
『座敷女』
望月峯太郎著
週刊ヤングマガジンに連載された長編コミック「バタアシ金魚」や「ドラゴンヘッド」で知られる望月峯太郎氏による、都市伝説や口裂け女を題材としたホラーコミック。単行本1冊に起承転結を詰め込んだ1本の映画を観ているかのような傑作。
造本としても扉が厚手のトレーシングペーパー、続く巻頭4ページがカラーとなっており、凝ったものとなっている。
アパートに住む大学生の森ヒロシは、ある夜、隣の部屋の同じ大学生、山本君の部屋のドアをしつこく叩いていた背が高く髪の長いコートを着た女を見かけて声をかけてしまう。
翌日夜遅くに再び隣を訪れていた女が、今度はヒロシのドアのチャイムを鳴らし、電話を貸してほしいという。仕方なく玄関に入れて電話を貸すヒロシ。すると翌日女から部屋にポーチを忘れたという電話があり、ついに大学にまでポーチを返せという電話がかかってきてしまう・・・。
山本君からヒロシに標的を変えたかのごとく、しつこくつきまとってくる女。ヒロシの部屋に無断で侵入し、室内を滅茶苦茶にするなど常軌を逸した行動をとるようになってくる・・・。ストーリーは次第に現実との境界が曖昧になっていき都市伝説じみた展開となっていく。
ふとしたきっかけで巻き込まれるストーカーや都市伝説の恐怖を描く、先見性を持った傑作です。
書名:座敷女
著者:望月峯太郎(本書刊行時)
発行日:1993年7月6日 第1刷発行
発行所:株式会社講談社
初出:ヤングマガジン1993年第13号~第24号掲載