嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

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将棋☖×異世界バトル♔!!『ダークゾーン』貴志祐介著

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将棋☖×異世界バトル♔!!

『ダークゾーン』

貴志祐介著

 

 藤井聡太2冠の活躍による将棋ブームが文芸界にも!ということで、9日付の読売新聞「本よみうり堂」でも特集がされていました。

 近年の将棋小説では最大の話題作、柚月裕子さんの「盤上の向日葵」が文庫化され売れ行きが良いのに加え、芥川賞選考委員も務める奥泉光さんも新刊「死神の棋譜」で将棋小説に参入した。

 本作「ダークゾーン」は、将棋と異世界をテーマに、1997年「黒い家」で第4回日本ホラー小説大賞を受賞、2005年「硝子のハンマー」で第58回日本推理作家協会賞を受賞するなど、ホラー、ミステリ、SFなどのジャンルで傑作を生みだしてきた貴志祐介氏の長編第10作目、2011年の刊行作品である。

 

(若干のネタバレを含みます)

 主人公は、将棋のプロを目指す奨励会三段の塚田裕史。目覚めると、暗い部屋の中に男女とり混ぜて18人の影が佇んでおり、全員が深紅のオーラに包まれていた。いつから、何のためにここといるのか?何も思い出すことができない。ただ一つの声だけが記憶の奥底から湧き上がってくる。

戦え、戦い続けろ。

 赤軍の王将(キング)としての役割を与えられた塚田。青軍との戦闘の端緒が開かれるまで15分の猶予しかない! どちらかが先に四勝した時点ですべてが終わる。否応なく戦闘に繰り出される塚田。

 戦いの駒は異形の姿と能力を持った怪物(モンスター)。やがて将棋さながらの戦術を駆使した頭脳戦、肉弾戦が展開する。舞台はどうやら端島(通称軍艦島)であるらしい。一進一退の意表を突く駆け引きが面白い。異世界のバトルの合間に現実世界の回想シーンが挟まれる。やがて浮かび上がる過去が異世界とリンクしていく・・・。

 いわゆる純粋な異世界ファンタジーかと思えば、そうではなく苦い現実がえがかれる。いわゆるイヤミス(嫌な後味を残すミステリー)といってもいいかもしれない。とはいえ先の見えない中で相手の手を読み、駒(怪物)の能力を活かして配置し、勝利を目指す異世界バトルの面白さは出色。一気読みできる読み応えの作品であることは間違いない。

 他に著者の将棋を題材とした作品としては、テレビドラマ化もされた防犯コンサルタント榎本径が活躍する「狐火の家」所収の「盤端の迷宮」がある。

 

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