3巻カバー
東西に分断された国境の街で…
『国境のエミーリャ』
池田邦彦著
コミックス怒涛の新刊ラッシュ
1945年、ポツダム宣言を拒絶した日本は壮絶な地上戦の末、1946年敗戦。列島は東西に分断されてしまう。
時は1962年。舞台はベルリンの壁ならぬ、トウキョウの壁がそびえる国境の街、東トウキョウ。
十月革命駅(旧上野駅)にある人民食堂の給仕係として働く杉浦エミーリャは、西側への脱出を願う人々を助ける「脱出請負人」という裏の顔も持っている。
過去を秘めて、いつもは仏頂面だが優しい心を秘めたエミーリャが魅力的。分断された東トウキョウの街はレトロな面影を残しつつも、東側の色濃く、ほぼ無国籍なイメージで描かれている。
◆収録作品
第11話 ★ かけがえのない相棒
相棒の自動車整備工、ミネオに愛車トラバントのオーバーホールを託すエミーリャ。
いい腕を持ちながら、腕のいい父親の陰で一人前になりきれないミネオ。そんな父親は東側の車を車と認めておらず、アメリカの名門高級車パッカードこそ本物の車だといいきるのだった。
親父を生まれた町である西側の世田谷に逃がしたい息子と、先進的な車の走る西側で仕事をさせたい親父。親子の物語に、言問通りから国際通りへと、浅草の街を疾走するトラバントとパッカードのカーチェイスが華を添える。
3巻の巻頭を飾るにふさわしい傑作短編である。
第12話 ★ カーニバルの夜に
火の祭りまで一週間を切った東トウキョウの街。西側から送り込まれた工作員を3日間匿うように指示を受けたエミーリャ。工作員の目的は東側で開発の進む、ミサイル開発に利用されるであろう高性能コンピュータの破壊だった。
しかしコンピュータの在り処がわからない。リオのカーニバルばりの美女たちとともに際どい衣装を身に着けた(読者サービス?)エミーリャは、山車(だし)に乗り込む…。エミーリャの機転と大胆な行動力が光る一編。
第13話 ★ 囚われのエミーリャ(前編)
第14話 ★ 囚われのエミーリャ(後編)
第15話 ★ 危険な電波
表紙
タイトル:国境のエミーリャ 3
著者:池田邦彦
監修協力: 津久田重吾
定価:本体591円+税
発行日:2021年1月17日 初版第1刷発行
判型:B6判
頁:200頁