人気ミステリーシリーズ第3弾!!
『兇人邸の殺人』
カバーを飾るのは、当代きっての人気イラストレーター、遠田志帆さん。
本書は、デビュー作にしてシリーズ第一作「屍人荘の殺人」により、特異なシチュエーションにより出現したクローズドサークルでの謎解きを描き、2018年のミステリーランキング3冠に加え、第18回本格ミステリ大賞受賞という華々しいデビューを飾った今村昌弘著による人気シリーズの第3作です。
「屍人荘の殺人」は、当代きっての人気俳優、神木隆之介さん、中村倫也さん、浜辺美波さん主演により映画化もされました。中村倫也さんの配役については、ファンから一部異論があったものの、名探偵剣崎比留子とワトソン役の葉村譲のキャラの立った、ギャグ要素も多めながら面白いミステリー映画になっていたと思います。
第2作「魔眼の匣の殺人」に続く、第3作目となる本書は、1作目から登場する謎を秘めた班目(まだらめ)機関の因縁がまたもや立ちはだかります。舞台となるのは、”廃墟テーマパーク”にそびえる「兇人邸」。この設定を読んだだけで面白そうです。
現在進行する各章に挟み込まれる過去の「追憶」。謎の研究所で子供たちを集めて行われる目的不明の研究。
過去パートでは同じような設定として、カズオ・イシグロ著「わたしを離さないで」やコミック「約束のネバーランド」、西澤保彦著「神のロジック 人間のマジック」を想起させます。
兇人邸の中では、ある事情から分断されてしまう剣崎比留子と葉村譲。しかし孤立しながらも剣崎の推理は安楽椅子探偵よろしく冴えわたる。そして剣崎比留子の登場場面は、浜辺美波さんで再生されます。
やがて過去と現在がシンクロするとき、恐ろしくも哀しい真相が立ち現れる・・・。
『兇人邸の殺人』
著 者:今村昌弘著
発行日:2021年7月30日 初版
発行所:東京創元社
装 画:遠田志帆