頭をかきかき読み解く魅惑の世界 『金田一耕助語辞典』
著:木魚庵 絵:YOUCHAN
「○○語辞典シリーズ」とは・・・
本書は、さまざまな趣味の世界をイラストと豆知識で盛り上げることで人気の誠文堂新光社「辞典シリーズ」の一冊として「江戸川乱歩語辞典」に続き、2020年9月に発売されました。「横溝正史語辞典」となっていないところに著者の並々ならぬこだわりが詰まっています。
金田一耕助とは・・・
知らない人はいないであろう知名度を誇る、江戸川乱歩とともに日本探偵小説界を代表する作家、横溝正史が生み出した名探偵である。映画やドラマなど数々の映像化により、その特徴的な風貌、キャラクターもおなじみである。
「金田一耕助語辞典」とは・・・
金田一耕助にまつわる言葉を50音順に並べた画期的な一冊です。ネタバレなしなので、マニアも初心者も楽しめること請け合い!(本書「この本の楽しみ方」より
私の好きな「真珠郎」は由利先生シリーズなので載っていないかなと思ったら、載っていました。なぜなら3度ドラマ化されていて、すべて探偵役が金田一耕助に変更となっているからであった。
個々の原作や映像化作品のガイドは優れた先行書があるため、思い切って割愛したということである。※映画ポスターギャラリー、映像作品一覧は有り。とはいえチョイスした項目で俳優(渥美清、石坂浩二、稲垣吾郎、岩下志麻、西田敏行、長谷川博己など)がいるので、映像作品への言及も多く感じた。
項目やマップで好きな街である吉祥寺や成城といった地名が出てくるのも嬉しい。
本書を彩るイラスト・・・
江戸川乱歩語辞典と同様に、本書の大きな魅力となっているのがYOUCHANによる数々のイラストである。かつての杉本一文氏による角川文庫の表紙や映画のイメージに比べるとおどろおどろしさは感じないが、その飄々とした絵柄は金田一耕助のキャラにはマッチして、本書のようなムックにはオシャレさや軽妙さも加味しつつ適しているといえるであろう。YOUCHANご自身が探偵小説、金田一耕助マニアとのことで、そのクオリティの高さは納得のいくところである。