嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

コミック、映画、ミステリーなど、思いつくまま綴ります。街のお散歩写真もご紹介(#^.^#)

今週のお題!『シャーロック・ホームズ語辞典』『シャーロック・ホームズの建築』正典とパスティーシュ

今週のお題「買いそろえたもの」

それは、シャーロック・ホームズ関連本です。

 別件ですが、本日はテレビ東京系「出没!アド街ック天国」のテーマが、「老舗の神田」だったため、おなじみの場所が数多く登場し、大変楽しく観ることができました。

『シャーロック・ホームズ語辞典』

北原尚彦/文

えのころ工房/絵

2019年12月15日発行 株式会社誠文堂新光社

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 本書は○○語辞典として、先にご紹介した「江戸川乱歩語辞典」「金田一耕助語辞典」に先立ち発売されました。

 作家、翻訳家、ホームズ研究科で、シャーロッキアンとしても知られる北原尚彦(文)と、2003年に『刑事コロンボ完全事件ファイル』(宝島社)でデビュー、ミステリー関係のイラストを得意とする、えのころ工房によるホームズ愛溢れる一冊となっております。

 コナン・ドイルが描いた長編4編と短篇56編、計60編のシャーロッキアンから、いわゆる「正典」と呼ばれる作品を中心としながら、「登場人物」「登場アイテム」「関連作品」「関連人物」などシャーロック・ホームズにまつわる様々な言葉が50音順に並べられています。

 各事件における重要な部分のいわゆるネタバレは避けられているため、正典を未読の方も安心。ホームズ作品のパスティーシュ(作風の模倣、パロディ作品)や、映像化作品にも数多く言及されているため、作品世界の拡がりを探りたい方のガイドとしても大変参考となります。

 またえのころ工房による本書を彩るイラストが、ヴィクトリア朝末期の英国の雰囲気を醸し出しながら、かわいくユーモラスに描かれており、見所のひとつとなっています。

 

『シャーロック・ホームズの建築』

北原尚彦/文

村山隆司/絵・図

2022年2月21日 初版第一刷発行 株式会社エクスナレッジ

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 本書は、今回ご紹介する中では、最新刊です。ホームズ作品に登場する建築がどのようなものだったのか、原作の描写や建築用語から、考察してみようという一冊です。そのため事件の詳細に触れざるを得ず、いわゆるネタバレがありますので、未読の方は注意が必要です。村山隆司氏の水彩画によるイラストが英国風の薫りを漂わせ、大変魅力的です。

 

正典(コナン・ドイルが書いた長編4編と短篇56編、下記は一部です。)

『緋色の研究』(長編)

アーサー・コナン・ドイル/著

日暮雅道/訳

2006年7月20日 初版第一刷発行 

光文社文庫版 新訳シャーロック・ホームズ全集第三回配本

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 1887年発行、ホームズとワトスンが活躍する最初の物語です。ワトスンがアフガニスタン帰りであることをホームズが唐突に言い当てる有名な出会いのシーンが描かれています。

 

『四つの署名』(長編)

アーサー・コナン・ドイル/著

日暮雅道/訳

2007年1月20日 初版第一刷発行

光文社文庫版 新訳シャーロック・ホームズ全集第五回配本

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 本署「四つの署名」は「緋色の研究」に続くホームズ作品の第2作目。

 

『シャーロック・ホームズの冒険』(短編集)

アーサー・コナン・ドイル/著

日暮雅道/訳

2006年1月20日 初版第一刷発行

光文社文庫版 新訳シャーロック・ホームズ全集第一回配本

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 ホームズものが爆発的な人気を得るきっかけとなった、かつてイギリスで刊行されていた月刊誌「ザ・ストランド・マガジン」に掲載された短編を集めた一冊。1891年7月号に掲載された初めての短編「ボヘミアの醜聞(スキャンダル)」から「赤毛組合」「まだらの紐」などの有名作品を収録。挿絵はホームズ作品の人気に寄与し、ビジュアル面から後世にも多大な影響を与えたシドニー・パジット。

 

パスティーシュ(作風の模倣、パロディ作品)

 ホームズ作品は、その世界的な人気から、数多くのパスティーシュ作品が書かれているが、やはりホームズ愛や、リスペクトに溢れた作品が面白い。

『黄色い下宿人』(短編)

山田風太郎/著

2001年3月20日 初版第一刷発行

光文社文庫版 山田風太郎ミステリ傑作選1「眼中の悪魔」所収

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 昭和28年(1953年)に発表された日本におけるホームズパスティーシュの先駆けにして傑作短編。いわゆる「語られざる事件」である蝙蝠傘一本を持って失踪したジェームズ・フィリモア氏の事件に材をとり、日本から訪れた黄色い下宿人が名探偵ホームズのお株を奪う名推理を披露する場面は痛快である。

 

『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』(長編)

島田荘司/著

1984年9月25日 初版第一刷発行

株式会社集英社

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 「御手洗潔シリーズ」で知られる島田荘司によるホームズパスティーシュ。漱石が師事したクレイグ先生も登場し、ほとんど先行する山田風太郎作品の延長線上のように思える一冊。

 夏目漱石(金之助)の語るパートとワトスンの語るパートが交互に描かれて物語は進行するが、漱石からみたホームズがかなりおかしな人間として描かれており(途中で少し普通になる)、パロディ色が強くなっている。

 

『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』(短編集)

柄刀一/著

2004年12月3日 初版第一刷発行

株式会社原書房

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 本書は推理作家、柄刀一(つかとうはじめ)による御手洗潔パスティーシュ2編、ホームズパスティーシュ2編、両者の対決する中編「巨人幻想」の計5編を収録した一冊。巻末には島田荘司による「石岡和己対ジョン・H・ワトスン」が収録されており、遊び心やサービス精神満点の一冊となっている。

 

『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』(長編)

松岡圭祐/著

2017年6月15日 初版第一刷発行

株式会社講談社

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 こちらは「催眠」シリーズ、「千里眼」シリーズ、「万能鑑定士Q」シリーズ、「水鏡推理」シリーズなど多数の人気シリーズで知られる松岡圭祐によるホームズパスティーシュ作品。松岡圭祐作品は、「催眠」から「千里眼」初期はよく読んでいました。

 夏目漱石同様に同時代に生きた実在の人物、伊藤博文が登場してくる。松岡圭祐は本作に続く第2弾として「アルセーヌ・ルパン対明智小五郎 黄金仮面の真実」を2021年11月に上梓している。

 

『シャーロッキアン』(コミックス全4巻)

池田邦彦/著

2011年2月28日 初版第一刷発行~

株式会社双葉社

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 その名もズバリ「シャーロッキアン」! 現在「国境のエミーリャ」を連載中、かつて鉄道漫画を描き、鉄道マニアとしても知られる著者が描いた傑作ミステリ・コミックです。

 シャーロック・ホームズの冒険の数々に魅了され、ホームズに恋した女子大生、原田愛里(はらだあいり)と、大学教授の車路久(くるまみちひさ)。ホームズを愛する二人が、心と謎を解きほぐすハートフルな物語の数々。ホームズと同時代に実在した切り裂きジャックがホームズと関わりがあったのかという謎や、前出のパスティーシュでも描かれた夏目漱石との関係に言及されており、興味深いです。

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