今週のお題「買いそろえたもの」
大宇宙の魔女
ノースウエスト・スミス全短編
C・L・ムーア/著
中村 融・市川 泉/訳
装画:またよし 装幀:岩郷重力+R.F
レーベル:創元SF文庫
判型:文庫判
ページ数:572ページ
初版:2021年11月12日
「大宇宙の魔女」は、大宇宙を舞台に、熱線銃一丁をたよりに星から星へ渡り歩く無宿者、ノースウエスト・スミスとその相棒の金星人ヤロールが邂逅する、または自ら飛び込む妖女たちの罠や、怪奇、幻想の世界を描くスペース・オペラです。
そのジャンルとしては、「スペース・オペラ(以下スぺオペ)」とも呼ばれていますが、スぺオペとしてすぐにイメージされるレンズマンシリーズや、キャプテン・フューチャーシリーズ、近年ではスター・ウォーズシリーズとは毛色がずいぶんと異なり、忍び寄る恐怖をじっくりと雰囲気を盛り上げて描く、どちらかといえばホラー・ファンタジー色の強い作品となっています。
特にデビュー作「シャンブロウ」は、SF界で「妖しい美女」の代名詞ともなり、かのクトゥル―神話の創出で有名な怪奇小説家、H・P・ラヴクラフトをして「大変な名作である」といわしめたといいます。
当時アメリカで全盛を極めたパルプ・マガジンで、怪奇と幻想を売りにした「ウィアード・テールズ」の1933年11月号に掲載されました。
著者のC・L・ムーア(1911~1987)は、デビュー当時、銀行に秘書として勤務する22歳の女性でした。
本作品は、この度、創元SF文庫より新訳決定版として発刊されましたが、かつてハヤカワ文庫より、漫画家の松本零士氏の非常に印象深い魅力的な表紙と挿絵、仁賀克雄氏の名訳で発刊されていました。
また本シリーズの「スターストーンを求めて」に登場する歌「地球の緑の丘」に感銘を受けた著名なSF作家ロバート・A・ハインラインが作者の許可を得て、自作の短編の題名にしたこともよく知られています。
(参考:本書訳者あとがき)
「SFグラフィックス」
パルプマガジン黄金時代のイラストを集めた一冊