嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

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12年間を費やした12万字の言葉『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』宮崎駿インタヴュー集

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12年間を費やした行われたインタビューによる12万字の言葉

風の帰る場所

ナウシカから千尋までの軌跡

宮崎駿インタヴュー集

インタヴュー渋谷陽一

 

音楽評論家、編集者であり、株式会社ロッキング・オンの代表取締役社長でもある渋谷陽一氏による宮崎駿監督へのインタビュー集です。

もともとは渋谷陽一氏が1989年12月(1990年1月号)に自身が創刊するカルチャー雑誌「CUT」に、どうしても宮崎監督のインタヴューを掲載したいとの思いから実現した企画だそうです。

最初のインタビューは「魔女の宅急便」が公開されてしばらく経ち、「紅の豚」がまだ本格的にスタートしていない時期に行われました。

その後「SIGHT」十号(2002年1月)まで12年の間に5回行われたインタビューがノーカットで掲載されています。(雑誌掲載時は誌面の関係でカットされていた)

その間、監督作としては「魔女の宅急便」(1989年、インタビューは制作後)、「紅の豚」(1992年)、「もののけ姫」(1997年)、「千と千尋の神隠し」(2001年)が制作されました。

書名にもあるナウシカについてですが、コミック版がアニメ雑誌「アニメージュ」誌上で1982年2月号から映画制作等による中断を経て1994年3月号の完結まで長きに渡り執筆された事やインタビューの4回目「ナウシカと千尋をつなぐもの」と5回目「風の谷から油屋まで」というテーマにもなっている通り、数多く言及されています。

宮崎監督の創作の秘密、映画制作の舞台裏のお話がとても面白く、同じ映画監督の高畑勲監督、庵野秀明監督や押井守監督についての話もあり、とても興味深いです。

油屋=ジブリ、鈴木敏夫氏=湯婆婆という話もあります(笑)

また渋谷陽一氏が無条件に宮崎監督礼賛ではなく、自身の思い込み?をぶつけていく中で宮崎監督の反応、本音を引き出してくやりとりも面白いです。

本書はのちに文庫化され、また続編も出版されています。

 

目次
○ 風が吹き始めた場所――1990年11月
映画/拠り所/現代/風/娯楽/ブランド/黄金律/自己嫌悪/日本人/動態/左翼思想/本音と建前/手塚治虫/ディズニー

○ 豚が人間に戻るまで――1992年7月
豚の由縁/崖っぷち/東西の崩壊/嘘/豚でしかない人間/「仕方のないもの」/根拠/出発点/創作意欲/終わっていない映画/メガヒット/本質/突き抜けたニヒリズム/ジャパニメーション/時代劇/奇跡/種を蒔く人

○ タタラ場で生きることを決意したとき――1997年7月
引退/職工頭/業の深さ/日の当たらない日本史/コダマ/『もののけ姫』の世界観の裏側/新しい歴史観/不条理な生/暴力性/自信の喪失/愛憎/ジブリというタタラ場/庵野秀明/押井守/高畑勲/無意識

○ ナウシカと千尋をつなぐもの――2001年7月
静かな山場/千尋と海/急遽の変更劇/油屋=ジブリ/顔の見える観客/銀河鉄道の夜/大事なもの/予感/鉄砲オタク/物語

○ 風の谷から油屋まで――2001年11月
失業者/漫画家/持ち込み/制約/職場/橋/「ライフワーク」/映画版『ナウシカ』のエンディング/世界観の造形/『ナウシカ』の成功/少年モノとしての『ラピュタ』/脇役/戦前・戦後/キスシーン/女性観/『トトロ』への積年の想い/日本/日常/草原/台風/『トトロ』の失敗/ヒモつき/思春期/佳境に入ったコミック版『ナウシカ』/社員/経営者/冷戦の終結とバブルの崩壊/後悔/真っ向勝負/シンプルでストロングなストーリー/「タタラ場」という現実/祝福/メロドラマ/答え

(目次はロッキング・オン公式HPより)

 

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宮崎駿インタヴュー集『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』

著者:宮崎駿

発行日:2002年7月19日 初版発行

発行所:株式会社ロッキング・オン

定価:本体1,600円(税別)

 

ロッキング・オン公式HP

http://www.rockinon.co.jp/product/book/25732