海洋冒険活劇の傑作小説『タイタニックを引き揚げろ』クライブ・カッスラー著

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新潮文庫版カバーより　※現在は扶桑社文庫より刊行

海洋冒険活劇の傑作小説

『タイタニックを引き揚げろ』

クライブ・カッスラー著

　タイタニック号は20世紀初頭に建造された巨大な豪華客船であり、1912年、北大西洋を処女航海中に氷山に接触し、沈没しました。

　タイタニックとその事故は、映画としてはおそらく最も有名なジェームズ・キャメロン監督、レオナルド・デカプリオ主演の映画「タイタニック」をはじめ、数々の小説や映画で描かれてきました。

　本作『タイタニックを引き揚げろ』は、1980年製作の映画「レイズ・ザ・タイタニック」の原作であり、不屈のヒーロー、ダーク・ピットを主人公とした人気シリーズの一作です。

　そして作者クライブ・カッスラー（1973年～2020年）を一躍世界的な人気作家に押し上げた作品でもあります。その面白さから、この新潮文庫の青緑の海の色を思わせる背表紙は、ほとんど揃えて読み漁ったものです。NUMA（国立海中海洋機関）の特殊任務部門責任者の主人公ダーク・ピットとともに、相棒のアル・ジョルディーノ、サンデッカー提督、ルディ・ガンなど脇を固めるキャラクターも立っており、物語を盛り上げます。

　本作は、タイタニックを題材としながら、後にあきらかとなったタイタニック号の事実（沈没時の船体の様子など）と異なる点はあるとしても、当時の東西対立を背景とした謀略小説として、また沈没したタイタニックを深海から引き揚げるという壮大なテーマに挑んだ海洋冒険小説の傑作といえるでしょう。

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