特別お題「わたしの推し」
昨日1月11日から何かが変わったなと思ったら、やっぱりスターが新しくなっていたのですね!!
今回久しぶりに特別お題「私の推し」にチャレンジしてみました。
第1巻「眼中の悪魔」<本格篇>
第2回日本探偵作家クラブ賞短篇部門を受賞した「眼中の悪魔」「虚像淫楽」、山形県O村の旧家を舞台に、目の回るほどのどんでん返しが連鎖する「厨子家の悪霊」、ロンドンを舞台に、ある文豪が登場するシャーロック・ホームズパスティーシュの先駆け「黄色い下宿人」、聖女のごとき謎めいたヒロインが強烈な魅力を放つ連作短編「誰にも出来る殺人」など、傑作選の幕開けを飾るにふさわしい傑作ぞろいの第1巻!!
2022年は生誕100年!!
『山田風太郎ミステリー傑作選 全10巻』
📖推理小説作家としてデビューするまで
今からちょうど100年前の1922年1月4日、山田風太郎は兵庫県の医者の家系に生まれた。
やがて上京し、医学生となった風太郎は、学問の傍ら推理小説を執筆、探偵小説専門誌「宝石」が行った第1回懸賞募集に「雪女」と「達磨峠の事件」の2編を応募し、「達磨峠の事件」が入選した。この作品は「宝石」昭和22年1月号に掲載され、デビュー作となった。
このときの評者が江戸川乱歩と水谷準(卓球選手の水谷隼とは異なります)であり、江戸川乱歩はどちらかといえば「雪女」、水谷準が「達磨峠の事件」を強く推したという。
📖小説、映画、漫画~エンターテインメント作品への多大な影響
山田風太郎といえば、現代まで続くエンターテインメントの世界で多大な影響を誇り、特に戦後いくたびかのブームを巻き起こし、数多く映画化や漫画化もされた「甲賀忍法帖」や「魔界転生」などの忍法帖で有名であるが、忍法帖にしても70年代以降の明治ものにしても、その奇想天外なトリックや、人間の異常心理の描き方には、原点である推理小説、ミステリー作家としての本質が色濃くあらわれている。
📖第4回日本ミステリー文学大賞受賞を機に、ミステリー傑作選の編纂
本シリーズは2000年の第4回日本ミステリー文学大賞を記念して、日下三蔵編にて光文社文庫より刊行されたが、推理作家としての山田風太郎を俯瞰できる決定版ともいえる内容となっている。
表紙のビジュアルは、ルネッサンス期の画家ヒエロニムス・ボッシュ(ボス)の「快楽の園」からとられており、人間の業や欲深さ、聖と俗、怪奇とユーモアの同居など風太郎作品を彷彿とさせるイメージが確かにあり、そのデザイン性、インパクトは秀逸と言わざるを得ない。
現在山田風太郎作品は、新刊として入手しにくい作品もあり、生誕100年を機に復刊ブームが訪れることを期待したい。
第2巻「十三角関係」<名探偵篇>
第3巻「夜よりほかに聴くものもなし」<サスペンス篇>
第4巻「棺の中の悦楽」<凄愴篇>
第5巻「戦艦陸奥」<戦争篇>
第6巻「天国荘奇譚」<ユーモア篇>
第7巻「男性周期律」<セックス&ナンセンス篇>
第8巻「怪談部屋」<怪奇篇>
第9巻「笑う肉仮面」<少年篇>
第10巻「達磨峠の事件」<補遺篇>
📖あわせて読みたい!!
「わが推理小説零年」
「黒衣の聖母」
河出文庫の山田風太郎傑作選の【江戸篇】【室町篇】【忍法篇】に続く【推理篇】の1冊として昨年末の2021年12月に刊行された。
上記のミステリー傑作選第5巻「戦艦陸奥」を底本としている(「太陽黒点」を含まず)。帯に生誕100年を謳っており、復刊ブームの先駆けとなってほしいところである。
※文中敬称略とさせていただきました。