画業50年超の巨匠が描く傑作ハードアクションコミック!!
『瞬きのソーニャ』第3巻
弓月 光著
コミックス怒涛の新刊ラッシュその4
「瞬き(またたき)のソーニャ」は、1968年(昭和43年)に少女漫画雑誌「りぼん」の第1回りぼん新人漫画賞でデビューし、少女漫画を皮切りに、やがて青年誌などにも舞台を移し、主にラブコメディを中心とした作風で、長きに渡り活躍をされている弓月光氏の新機軸ともいうべき作品です。
著者ご本人の談によれば「『ソーニャ』は完全に趣味。気晴らし(笑)」(3巻の帯より)とのことで、それまでのときにエロチックなラブコメ作品とは一線を画しています。それだけに描きたいものをのびのびと描いているという感じが伝わってきて小気味よいです。
本作は、「グランドジャンプ」誌上に不定期に短期連載され、2012年1月24日にコミックス1巻発売、2014年2月24日に2巻、そして2020年12月23日に3巻が発売されるという、息の長い、続きが気になる読者にとっては待ち遠しい作品となっています。
(若干のネタバレあります)
物語としては、1989年のベルリンの壁崩壊とともに始まり、スパイ小説、冒険小説の体裁をとりながら、遺伝子操作により超人的な力を持つ少女と父親代わりの老兵との交流、彼女を追うKGBをはじめ各国の諜報機関との過酷な闘いと成長を描いている。
なんといっても天真爛漫ながら超人的な力を持ち、悪に対しては容赦しないソーニャが魅力的である。無敵の美少女といえば、小山ゆう氏の、こちらも長編の人気漫画作品である「あずみ」を彷彿とさせる。また追われながらも敵をバッタバッタとなぎ倒していく痛快さは、映画でいえば「ジェイソン・ボーン」シリーズにも通ずるものがある。他にもリーアム・ニーソン主演の「96時間」シリーズや、デンゼル・ワシントン主演の「イコライザー」のような痛快さがあるといってよいだろう。
また連載期間が10年近くに渡り、他作品も並行して制作している中で、絵柄のクオリティが変わらずに高く、線が綺麗でキャラクターが生き生きとしているのも特筆すべき点である。3巻のラストでは新しい仲間も出来、続きが気になる傑作です。
タイトル:瞬きのソーニャ 第3巻
著者:弓月 光
発行日:2020年12月23日 第1刷発行
定価:600円(本体)+税
仕様:B6判/194ページ
第2巻
第1巻