剣豪小説、時代小説の大家によるミステリ短篇傑作選
『第8監房』柴田錬三郎著 日下三蔵編
#監獄、刑務所、収容所を舞台とした作品
監獄や刑務所、収容所から脱走したり、舞台として登場する作品は時代を問わず数多く作られており、傑作が多い。
書き手としては限定された空間、特殊な状況下を設定しやすく、人間ドラマを描きやすいからであろうか・・・。読み手の興味も掻き立てる。
◆小説
「モンテ・クリスト伯」アレクサンドル・デュマ
「刑務所のリタ・ヘイワース」スティーヴン・キング※1
「グリーンマイル」スティーヴン・キング
「ストーン・シティ」ミッチェル・スミス
「グリーンリバー・ライジング」ティム・ウイロックス
「ダーティホワイトボーイズ」スティーヴン・ハンター
「最も危険な場所」スティーヴン・ハンター
スワガー・サーガは「極大射程」から始まり、本作くらいまでは本当にむやみに面白い。スナイパーに特化したボブ・リーとFBI捜査官のニック・メンフィス、ガンマンでオールラウンダーの父親、アール。登場人物もすこぶる魅力的である。
「完全脱獄」ジャック・フィニイ
「破獄」吉村昭
「海峡の光」辻仁成
etc.
◆映画
「大脱走」ジョン・スタージェス監督 スティーブ・マックィ―ン主演
「暴力脱獄」スチュアート・ローゼンバーグ監督 ポール・ニューマン主演
「ショーシャンクの空に」フランク・ダラボン監督 ティム・ロビンス主演 原作※1
「パピヨン」フランクリン・J・シャフナー監督 スティーブ・マックィ―ン主演
「アルカトラズからの脱出」ドン・シーゲル監督 クリント・イーストウッド主演
「ダーティハリー3」ジェームズ・ファーゴ監督 クリント・イーストウッド主演
「ニューヨーク1997」ジョン・カーペンター監督 カート・ラッセル主演
巨大な監獄と化した近未来のニューヨークから、大統領を救出して脱出せよ。元特殊部隊の囚人スネークに与えられた時間は24時間・・・。
「怪盗グルーのミニオン大脱走」ピエール・コフィン/カイル・バルダ監督 怪盗グルー、ミニオン出演
etc.
◆漫画
「ルパン三世」「脱獄」(アニメ版「脱獄のチャンスは一度」)モンキー・パンチ
「ワイルド7」「緑の墓」望月三起也
ワイルド7はどれも面白いが、「緑の墓」編は本当に面白い。拷問器具エビフライにつながれて、ボロボロになりながらも体力を蓄え、反撃に転じる飛葉の活躍の爽快さは無類。
「死刑執行中脱獄進行中」荒木飛呂彦
「ジョジョの奇妙な冒険 ストーン・オーシャン」荒木飛呂彦
「刑務所の中」花輪和一
「監獄学園」平本アキラ
etc.
◆ミステリ短篇傑作選『第8監房』について
本書は「眠狂四郎無頼控」シリーズや「赤い影法師」などで知られる剣豪小説、時代小説の大家、柴田錬三郎(1917~1978)の比較的初期の1955年(昭和30年)前後に描かれたミステリ短篇を集めた作品集である。
表題作の「第8監房」は、若干のネタバレとなるが、タイトルから連想されるような、そこまでガチガチの刑務所ものではない(例として厳しい所長や看守、極悪な凶悪犯に狙われる等)。また終盤タイムリミット・サスペンスの面白さも加味されており、短篇ながら読み応えのある一篇となっている。
本書には全部で8篇の短篇が収められているが、前半の5篇が面白い。特に「銀座ジャングル」と「三行広告」が好きである。おそらく山田風太郎が同じ題材で描いたら、違う着地の仕方になったであろう・・・などと想像してみる。
後半の3篇は、もともと別の単行本に収録されていたこともあり、テイストがやや異なっている。
◆柴田錬三郎の代表作
「眠狂四郎無頼控え<一>」
「赤い影法師」
参考HP: