嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

コミック、映画、ミステリーなど、思いつくまま綴ります。街のお散歩写真もご紹介(#^.^#)

クリスマスに始まる物語「キャロル」パトリシア・ハイスミス

Patricia Highsmith
Carol
キャロル
訳者:柿沼瑛子
発行日:2015年12月20日 初版発行
原書発行:1951年「The Price of Salt」
発行所:河出書房(河出文庫
定価:本体820円

イメージ 1

映画「見知らぬ乗客」「太陽がいっぱい」の原作者と知られる著者が、「見知らぬ乗客」に続いて執筆した作品。
サスペンス小説ではない内容、女性同士の恋愛を描いているという理由から「見知らぬ乗客」の大手出版社から拒絶され、またレッテル貼りを嫌った著者により別名義(クレア・モーガン)として小さな出版社から刊行されました。
そして刊行後、一年経ってペーパーバック化されると百万部近く売れる大ヒットとなりました。

物語はクリスマスの近づく季節、ニューヨークにあるフランケンバーグ・デパートから始まります。
デパートの人形売り場でアルバイトとして働く、舞台美術家を夢見る19歳の女性テレーズ。ある日、テレーズはプレゼントを買いに訪れた美しいブロンドの女性と目が合い、魅了されて立ちつくしてしまいます。

若者に特有の夢と希望、不安、美しいものへの憧れ、成長を描いている作品ともいえます。また1950年代のアメリカの風俗、状況も興味深いです。

恋愛小説ながら、サスペンスの女王らしい心理描写、展開で惹きつけます。著者あとがきでは結末に触れていますので、結末を知りたくない方は先に読まないことをお薦めします。
2016年映画化。

【著者紹介】
1921-1995年。
テキサス州生まれ。
45年に「ヒロイン」が雑誌掲載され作家デビュー。
アルフレッド・ヒッチコック監督により『見知らぬ乗客』、ルネ・クレマン監督により『太陽がいっぱい』が映画化され、人気作家となった。

太陽がいっぱい』でフランス推理小説大賞、『殺意の迷宮』で英国推理作家協会(CWA)賞を受賞。サスペンスの巨匠として多くの作品を発表。生涯の大半をヨーロッパで過ごした。

【訳者紹介】
柿沼 瑛子 (カキヌマ エイコ)
1953年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学科卒業。訳書にアン・ライス『ヴァンパイア・クロニクル』シリーズ、エドマント・ホワイト『ある少年の物語』他。共編著に『女性探偵たちの履歴書』他。

映画
キャロル
公開:2016年
キャスト:
キャロル・エアード/ケイト・ブランシェット
テレーズ・ベリベット/ルーニー・マーラ

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4
オスカー女優ブランシェット(左)と、
本作でカンヌの主演女優賞に輝いたマーラ(右)

写真:映画.comより