電脳世界を舞台にしたサイバーパンクの幕開け
『ニューロマンサー』
ウィリアム・ギブスン著 感想
本作は1985年ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞のダブルクラウンに輝く、ウィリアム・ギブスンの処女長編。
「港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった。」
印象的な書き出しと共に、物語は千葉市(チバシティ)で幕をあける。
かつて電脳世界(サイバースペース)マトリックスに没入(ジャックイン)して縦横無尽に活躍していたコンピュータ・カウボーイのケイスは、ある仕事で雇い主を裏切ったことがきっかけで神経を焼かれ、その能力を奪われてしまった。再起をかけて、神経外科医学の最先端を行く千葉の闇クリニックで手術を受けるため、ミラー・サングラスに黒づくめの衣装の女モリイに導かれるまま、ヤバい仕事を引き受けることになる・・・。
無国籍で猥雑な未来世界、強烈なサスペンスとアクション、魅力的なキャラクター。
あらためて読み返せば1999年公開の映画「マトリックス」との多くの共通点に気づく。それもそのはず!!映画製作者のウォシャウスキー姉妹は当初本作の映画化を計画していたという・・・
サイバーパンクの幕開けを告げる傑作!!
書名:ニューロマンサー
著者:ウィリアム・ギブスン
訳者:黒丸尚
発行日:1986年7月15日 初版第1刷発行
発行元:早川書房 ハヤカワ文庫
定価:本体560円(税別)