嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

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SF「サイボーグ・ブルース」平井和正

サイボーグ・ブルース
著者:平井和正
カバー:生頼範義
解説:星新一
発行日:昭和49(1974)年9月20日 初版発行
発行所:角川書店(角川文庫)

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 犯罪組織(シンジケート)から金をもらっていた同僚の警官は、汚職に感づいた黒人警官アーネスト・ライトを撃ち殺した。
 しかしライトは300馬力の力を秘めた超重合物(ハイ・ポリマー)の骨格を持つサイボーグ特捜官として甦った。

 人間とは何か、黒人警官という設定による人種問題という重いテーマを秘めながら、サイボーグ同士の電子加速状態による超高速の戦いや、サイバーパンクや電脳空間を先取りしたような描写等、エンターテインメントとしても超一級の面白さを誇る日本SFの名作です。

 星新一氏の非常に的を射た解説を引用させていただきます。
「いまさら説明は不要だろうが、サイボーグとは脳だけが人間で、ほかのすべては高性能のメカニズムなのである。科学の進歩がうみだした成果である。成果といっても、いい面ばかりをもたらしているわけではない。ロボットとは大きく違うのである。人間としての感情と判断と追憶とを持っている。しかし人間とは別個の存在なのである。疎外された存在であり、死から呼びもどされた存在でもある。
 人間であるということは、どういうことなのだ。このテーマを追求するのに、適切な題材なのである。ありとあらゆる角度から、人間そのものへの問いかけがなされている。作品中に引き込まれるSFは多いが、本書のように、引きこまれると同時に考えさせられるSFはそう多くない。」(星新一氏の解説より)