23年ぶりの短編集‼
『ちばてつや追想短編集』
本作「ちばてつや追想短編集」は、「あしたのジョー」や「おれは鉄平」、「あした天気になあれ」などの長編漫画で有名なちばてつやさんの23年ぶりの短編集です。個人的にも、長編では上記の3作品が大好きです。
内容としては、貸本漫画でデビューして以来、戦後の漫画史と共に歩んできたちばてつやさんが2003年以降に描いた貴重な自伝的読み切り作品となっています。
一部先行して刊行された「ひねもすのたり日記」と内容がかぶるところもありますが、表現形式が異なるため(「ひねもすのたり日記」は、1回4ページ、オールカラー)、逆にあわせて読むとより重層的に楽しむことができます。
収録作品初出
「家路1945~2003」
ビッグコミック2003年10月25日号
終戦の日に何をしていたか絵に描いてほしいという原稿の依頼をもとに、大陸から一家をあげての苦難の引き上げが描かれる。
「赤い虫」
ビッグコミック2008年6月10日号
スポーツ漫画を得意とする著者だが、若かりし頃、少女漫画を描いている頃はひどいスポーツ音痴だった。そんな著者に訪れた転機と不思議な出来事を描く。
「トモガキ」
ヤングマガジン2008年11月17日号~11月24日号
ある壮絶な出来事をきっかけに、手塚治虫をはじめ漫画界の伝説的な面々の集まっていたトキワ荘の仲間となった著者の姿を描く。
「グレてつ」
ビッグコミック2021年4月25日号
「あしたのジョー」のラストが思い浮かばず、悩む著者に過去の回にヒントがあると助言する編集者。そこからあの伝説的なラストシーンが描かれることとなった。この逸話は以前別のところで目にした記憶があります。
著者:ちばてつや
発行所:株式会社小学館
発行日:2021年5月5日初版第1刷発行
定価:1650円(税込)
判型/頁:A5判/248頁