嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

コミック、映画、ミステリーなど、思いつくまま綴ります。街のお散歩写真もご紹介(#^.^#)

美人スキー・インストラクターの名推理『天使は探偵 スキー探偵 大鳥安寿』

今週のお題「冬のスポーツ」

=スキー

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天使は探偵

スキー探偵 大鳥安寿

笠井 潔 著

 本日は2022年2月22日、2が並ぶことから猫の日と呼ばれる2月22日の2022年版でスーパー猫の日だそうですね。次の超スーパー猫の日は200年後、2222年2月22日などということをふと考えてみたりしました(=^・^=)

 さて今週のお題「冬のスポーツ」にちなみ、美人スキー・インストラクターが探偵役として活躍する連作短編集「天使は探偵 スキー探偵 大鳥安寿」の登場です。

 語り手の”私”は、本格探偵小説作家の矩巻濫太郎(のりまきらんたろう)。中学生のときのあだ名は「千兵衛(せんべえ)」(Dr.スランプより)、2話では先輩作家に「小たま(小説家のたまご)」(忍たまより)と呼ばれているように現実世界の作品のパロディ、言及もなされている。

 小説が書けないスランプから、スキー場のある八神村に移り住んだ”私”は、スキーと出会い、日本を代表するダウンヒル・レーサー大鳥安寿にスキーを習うことになるが、スキー場や雪山を舞台に、次々と事件に巻き込まれることになる。背後に蠢くカルト教団の影。

 ”私”が天使になぞらえる美貌を誇る大鳥安寿の推理が冴える。人間消失や空中浮遊、ゲレンデを密室に見立てた謎、本格ミステリーの定番である文字通り吹雪の山荘を舞台とした惨劇、旧家の遺産相続争いと入れ替わりトリックなど、探偵小説ファンがニヤリとする設定が矢継ぎ早に繰り出される。人間を超越したような安寿の洞察力は、まさに天才型の探偵といえるだろう。

 評論家としても活躍する著者が登場人物に語らせる宗教談義や、ミステリ論をはさみつつも、あくまで謎解きを主眼とし、エンタテインメントに徹した一作である。

 

書誌情報

タイトル:天使は探偵 スキー探偵 大鳥安寿(おおとりあんじゅ)

著者:笠井 潔

装幀:多田和博

装画:西口司郎

発行年月日:2001年2月10日 第一刷発行

発行所:株式会社集英社

初出誌:「小説すばる」

1 空中浮遊事件 1997年11月号

2 屍体切断事件 1998年3月号

3 吹雪山荘事件 1998年11月号

4 白骨屍体事件 1999年7月号