コミックス新刊感想
1962年、壁に分断された東トウキョウを舞台に、脱走請負人エミーリャの活躍を描く!!
『国境のエミーリャ』池田邦彦著 監修協力/津久田重吾
旧国鉄時代を舞台にした鉄道漫画「カレチ」や鉄道ライターとして知られる池田邦彦氏の初めての少年誌連載作品です。題材としても初の架空の歴史、もしもの世界を描く作品となっています。架空の歴史ものとしてすぐに思い浮かぶのがフィリップ・K・ディックの「高い城の男」、こちらは逆に日本側が勝利し、アメリカが東西に分断されてしまうというお話でした。
舞台は1962年、ベルリンの壁ならぬ、トウキョウの壁がそびえる街。1945年、ポツダム宣言を拒絶した日本は壮絶な地上戦の末、1946年敗戦。列島は東西に分断されてしまう。
十月革命駅(旧上野駅)人民食堂の給仕係として働く杉浦エミーリャは、西側への脱出を願う人々を助ける「脱出請負人」という裏の顔も持っている。過去を秘めて、いつもは仏頂面だが優しい心を秘めたエミーリャが魅力的。分断されたトウキョウはレトロな面影を残しつつも、東側の色濃く、ほぼ無国籍なイメージで描かれている。
狙撃手である兄との過去、執拗にエミーリャを追う国境犯罪捜査担当民警のウラゾフの手を逃れられるかなど、3巻以降の展開が気になる作品です。
目次
第6話 地下水道の花
第7話 後楽園球場の秘密
第8話 暴走エレクトリーチカ
第9話 勇者は還らず(前編)
第10話 勇者は還らず(後編)
表紙
書名:国境のエミーリャ 第2巻
著者:池田邦彦
監修協力:津久田重吾
発行日:2020年7月15日 初版第1刷発行
発行所:小学館
定価:本体591円(税別)