珠玉の作品集『ねじ式 つげ義春作品集(改訂版)』
つげ義春著
感想
かつての青年漫画雑誌「月刊漫画ガロ」を舞台に、1965年~1970年にかけて掲載されたつげ義春氏の珠玉の作品群を、初出誌のサイズB5判で再現し、単行本未収録を含むカットやエッセイも可能な限り収録した決定版ともいえる作品集です。
巻頭の表題作「ねじ式」はオリジナル2色バージョンで収録。その夢の中を彷徨うな不条理な作風からその反響は漫画界にとどまらず、詩人や美術評論家たちがを巻き込んで、さまざまな評論がなされました。
ただその作品の魅力は人目を惹く派手さだけにとどまらず、時代物、旅行記、人情の機微を描く作品など多岐に渡ります。中でも「海辺の叙景」は好きな作品です。曇天の、また雨の降りしきる海辺で交わされる、東京から来た青年とそこで出会った女性との何気ない会話。傑作です。
【収録作品】
ねじ式
噂の武士
西瓜酒
運命
不思議な絵
沼
チーコ
初茸がり
通夜
山椒魚
李さん一家
峠の犬
海辺の叙景
紅い花
西部田村事件
長八の宿
二岐渓谷
オンドル小屋
ほんやら洞のべんさん
ゲンセンカン主人
もっきり屋の少女
蟹
やなぎ屋主人
【収録エッセイ】
密航
京都ブラブラ日記
断片的回想録
【解説・資料】
解説
つげ義春年譜
装幀・南伸坊
カバー裏
書名:ねじ式 つげ義春作品集(改訂版)
著者:つげ義春
発行年月日:2018年1月25日 初版第一刷発行
発行所:青林工藝舎
定価:本体3000円(税抜き)