嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

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宮崎駿監督「ルパン三世 カリオストロの城」の原点!怪奇大ロマン小説『幽霊塔』江戸川乱歩著

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◆タイトル:幽霊塔

著者:江戸川 乱歩 著 宮崎 駿 カラー口絵
刊行日:2015年6月5日
体裁:A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 318頁
定価:本体2,000円+税

発行:岩波書店

 

宮崎駿監督「カリオストロの城」の原点!

怪奇大ロマン小説『幽霊塔』江戸川乱歩 著

 

今から60年前、僕は「幽霊塔」に出会った。

ものすごく面白かった。怖くて、美しかった。

歯車やロマンスにあこがれ、それが種となり、

僕は「ルパン三世 カリオストロの城」を作った。

宮崎駿

(2015年刊行時の本書帯より)

 

 本書は、大衆文芸誌「講談倶楽部」の1937年(昭和12年)1月号から翌1938年(昭和13年)4月号まで連載された江戸川乱歩による長編小説である。

 もともとは黒岩涙香が1899年(明治32年)に海外の小説を翻案して、新聞連載小説として発表したものである。

 涙香の小説はその頃大変評判になり、素晴らしく面白かったが、文章や表現が難しかったことから、その38年後に江戸川乱歩がわかりやすいように自分流に書き変えを行ったのである。

 江戸川乱歩の時代には原著が不明であったが、現在では英国の作家A・M・ウィリアムスンが1898年に発表した「灰色の女」であることがわかっている。

 

 舞台は今を時めく大正時代のはじめ。舞台は九州の寂しい山の中にそびえ建つ古い時計塔。

 この謎を秘めた時計屋敷は、徳川時代の末期に、九州で一、二を争う大富豪、渡海屋市郎兵衛という男が別荘として建てたものである。しかしこの時計屋敷が出来上がると同時に渡海屋市郎兵衛は行方不明となってしまう。

 そしてこの地方には奇妙な話が語り継がれていた…。それは渡海屋が所有するおびただしい金銀財宝を隠すために作った頑丈な秘密室に財宝を運び込んだはいいが、巧妙に作りすぎて出られなくなってしまったのではないかというのだ。

 その後、時計屋敷で起こる猟奇的な事件。勇敢な青年と謎を秘めた美女。財宝の眠る地下の大迷路。

 宮崎駿監督によるカバーイラストと巻頭のカラー口絵16頁が秀逸。淡彩で再現された時計の歯車の前に佇む意思の強そうな謎の美女。時計屋敷の全景と時計塔の図解。監督の熱い思いが伝わってくる。

 口絵内で4頁分だが、時計塔の一室における青年北川光雄と謎の美女野末秋子の出会いの場面が絵コンテとして描かれており、このまま映画化してくれたら良かったのにという思いが湧き上がってくる。

 

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 江戸川乱歩は、本作を少年探偵シリーズの一作「時計塔の秘密」としても発表しており、こちらは主人公の北川光雄が少年となり(幽霊塔では26歳)、名探偵明智小五郎が、少年光雄の五つ年上の友人(大学生)として登場し、活躍している。

 

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◆タイトル:時計塔の秘密

著者:江戸川乱歩

カバー絵・さし絵:岩井泰三

発行日:1973年(昭和48年)11月30日

発行:株式会社ポプラ社

 

◆本書刊行と連動して行われた企画展示

三鷹の森ジブリ美術館企画展示
幽霊塔へようこそ展 —通俗文化の王道—

期間: 2015年5月30日(土)~2016年5月8日(日)
主催:(公財)徳間記念アニメーション文化財団
特別協力: スタジオジブリ 
特別協賛: 日清製粉グループ

www.ghibli-museum.jp