今週のお題「鬼」
5年ぶり完全復帰作!本格ボルダリングコミック
『のボルダ』鬼頭莫宏著
鬼頭莫宏(きとうもひろ)氏は、アニメ化もされた長編マンガ「なるたる」や「ぼくらの」で知られ、2020年には「ぼくらの」完全版も発売され、話題となりました。
近年では途中まで読んでいた「双子の帝国」(現在は休載中)が、ついこの間のことのように思っていましたが、5年もたっていたんですね。
本作は、今までSFやファンタジーといったジャンルで人間の闇の部分や無常観を描いてきた著者が、空想科学や超自然的な要素のない、スポーツをテーマとしたマンガです。
23年間、ほぼ無趣味だった会社員、森下藤子の初めての趣味と言える趣味、それがボルダリング。2日に一回(体を壊さないため)、17時の終業のベルとともにジムへ通うのだった。タイトルは作中では言及されていませんが、壁を登る+ボルダリングの造語と思われます。
本作の成り立ちにはおそらく、東京2020オリンピックの影響も大きいでしょう。巻末の連載に至る裏話を描いた0話で著者が自虐的に語るように、ボルダリングは、マンガ化に向いていない。しかし東京2020後では、状況が異なり、多くの人々は観る側としてもボルダリングの面白さに気づきました。また著者もボルダリングの技術面、精神面を掘り下げるとともに、キャラクターにも魅力をもたせて、面白い作品に仕上げていると思います。続きの楽しみな一作です。
タイトル:のボルダ 1巻
著 者:鬼頭莫宏
定 価:682円(税込)
発売日:2022年1月8日
発行所:新潮社
初 出:くらげバンチ(新潮社のWEBマンガサイト)2020年11月~2021年11月