嵐、ゴルフ、ミステリーの日々2

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本格ミステリーの傑作、ドラマも佳境!『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』

ドラマ版主演、清原果耶さんのヴィジュアルをフィーチャーした文庫版の帯

単行本と同様の印象的な装画は遠田志帆さん、カバーデザイン坂野公一さん

本格ミステリーの傑作、ドラマも佳境!

『medium  霊媒探偵 城塚翡翠』

 著者は相沢沙呼(あいざわさこ)さん。アマチュア・マジシャンであり、もともとは「日常の謎」に焦点をあてた作品を執筆。デビュー10年を節目に、殺人は描かないという制約を解除し、著した作品が本作であり、2019年9月10日に講談社より単行本として刊行されました。

 各種ミステリランキングの締め切り間近に発表されたにも関わらず、5冠をいう偉業を成し遂げました。

★第20回本格ミステリ大賞受賞
★このミステリーがすごい! 1位
★本格ミステリ・ベスト10 1位
★SRの会ミステリベスト10 1位
★2019年ベストブック

さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補!

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢 沙呼):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部より

 以下、直接的なネタバレはしませんが、若干内容に触れますので、未読の方はスルーしてください。

 物語は全4話の連作短編集の形をとっており、数年来、関東地方を騒がせている連続殺人事件の謎が縦糸として貫いている。

 推理作家の香月史郎は、かつて通っていた大学の後輩、倉持結花から奇妙な依頼を受ける。一緒に霊能者(正確には霊媒師)に会ってほしいというのだ。

 二人が出会った霊媒師は、城塚翡翠と名乗り、その双眸は美しい碧玉色をしていた。二人の職業を見事言い当てた翡翠は、香月に倉持結花に注意を払ってあげてほしいと告げる。翡翠の申し出により、後日、倉持結花の家を訪れた香月と翡翠は、結花の死体を発見する。

 以後霊媒師として翡翠が犯人を言い当て、香月が謎解きの論理を組み立て、証拠を探すという「刑事コロンボ」などで知られる、いわゆる倒叙形式に近いスタイルが確立する。超自然的な要素とミステリーを組み合わせたストーリーが進行していくが、殺人鬼との対決を描く最終話「VSエリミネーター」で、景色が一変する。本格ミステリー魂が炸裂する最終話を是非お見逃しなく。

 ドラマ版では、朝ドラ俳優としても知られる若手の実力派、清原果耶さんを主演に迎え、バディを組む推理作家、香月史郎を瀬戸康史さんが演じます。現在第3話まで放送され、第4話のサブタイトルが、原作と同じ「#04 VS.Eliminator Part1」になっており、どのように描かれるのか気になるところです。

 また翡翠のアシスタント、千和崎真役で小芝風花さんが出演されていますが、中村倫也さん主演の「美食探偵」でもアシスタント的な役を好演されていましたね。

令和時代最初のベストワンとして選出された「このミステリーがすごい!2020年版」

 文庫版あとがきでは「霊媒探偵城塚翡翠」のタイトルは、泡坂妻夫さんの作品「奇術探偵曽我佳城」へのリスペクトが込められていると言及されている。

 泡坂妻夫さんもマジシャンであり、両作の共通点としては、マジック的思考、いかに読者の目をそらすか、ミスディレクションに眼目が置かれており、そこに着目することによって読者も謎に肉迫することが出来るわけだが、そこは素直に騙されたい。

祖父江慎さん+コズフィッシュによるエッシャーの騙し絵風で斬新な装幀

 第3話「水鏡荘の殺人」に登場する「黒書館殺人事件」の元ネタと思われる、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」。夢野久作の「ドグラマグラ」、中井英夫の「虚無への供物」とともに日本ミステリー界の三大奇書とも呼ばれる。

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